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樹状細胞ワクチン療法

厚生労働省関東信越厚生局認可2018年11月8日:再生医療等提供計画番号PC3180169

 

樹状細胞

免疫系の“司令塔”と呼ばれる樹状細胞を大量に培養してがんの目印である「がん抗原」を取り込ませた形にして皮内に投与すると、樹状細胞は体内で“兵隊”の役割を果たすTリンパ球に「がん抗原」を教育します。樹状細胞によって活性化されてがん細胞を攻撃できる能力を持つようになったTリンパ球が、体内のがん細胞を見つけて標的として殺傷する治療です。

血液中の白血球の一種である単球を大量に集めて、培養して樹状細胞に分化させます。単球は培養しても分裂して増えないため、最初に大量に集める必要があり、血液を循環させながら白血球だけを集める「アフェレーシス」という処置を一日だけお受け頂くことが必要になります。

単球を培養して樹状細胞ができたら、「WT1ペプチド」大阪大学の杉山治夫教授が開発された特許技術でテラ株式会社が独占実施権を保有)などの「がん抗原」を樹状細胞に取り込ませて、1,000万個で樹状細胞ワクチン1本として液体窒素に凍結保存し、2~3週間に1回程度の頻度で1本ずつ皮内注射をして、抗がん免疫を増強してゆきます。 

東京大学医科学研究所発バイオベンチャー企業で本邦で12,000症例を超える実績を誇るテラ株式会社の培養技術で樹状細胞ワクチンを作製します。

テラマーク

樹状細胞ワクチン療法のテラ株式会社

2016年12月、テラファーマ株式会社和歌山県立医大と進行した膵臓がんに対するWT1ペプチドパルス樹状細胞ワクチンの安全性と有効性を検討する本邦初となる医師主導治験の計画書を独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請し、2017年3月に二重盲検ランダム化比較試験が開始されました。中間解析の結果、その安全性が確認され、今後さらに多施設共同研究に展開してその有効性の評価が行われる次の段階に進んでおります。詳しくはテラ株式会社のホームページをご覧下さい。

がんの樹状細胞ワクチン療法を詳しくお知りになりたい患者様は医療相談(初回無料)を随時行っておりますのでお電話やインターネットでご予約の上、お気軽にご相談下さい。

 

樹状細胞ワクチン療法についての概略の説明は下記をご覧ください。

 


 

 私達の血液には、赤血球、白血球、血小板の3つの系統の血球が存在しています。このうち、免疫に関係するのは白血球です。

白血球はさらに、「リンパ系」「骨髄系」の2つに分けられます。「リンパ系」のうちがんの免疫で重要なのは「Tリンパ球」「NK(ナチュラルキラー)細胞」です。「骨髄系」のうちがんの免疫で重要なのは「樹状細胞」です。「樹状細胞」は図のように元々は「単球」という白血球がもとになり、これが“分化”することによってできてきます。

白血球の分類

白血球の分類

樹状細胞という白血球の名前はあまり聞き慣れないものと思いますが、1973年にカナダ人であるRalph Marvin Steinman教授によって発見された白血球の一種で、その名の通り表面が木の枝のような突起で覆われています[参考文献1]。樹状細胞を発見した功績により、Steinman教授は2011年にノーベル賞を受賞しました。

下記の写真は当院院長の藤田が2006年に東京大学医科学研究所山下直秀教授のもとに配属していた時に、ボランティアの健康な方に東京大学医科学研究所附属病院でアフェレーシスを受けて頂き、テラ株式会社のご協力のもとで末梢血から分離して頂いた大量の単球を、理研横浜研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター(RCAI)樹状細胞機能研究チームの佐藤克明博士(現 宮崎大学医学部教授)のご指導の下で培養して分化させた樹状細胞の光学顕微鏡写真です。木の枝のような突起が多数みられ、非常にユニークな形をしていることがお分かりになると思います。

樹状細胞

樹状細胞

実は、樹状細胞は免疫系の中核を担う“司令塔”とも呼ばれる非常に重要な細胞であり、樹状細胞はまずがん細胞を貪食(どんしょく)して自分の中で消化(プロセッシング)をして、こなごなになったがん細胞のタンパク質の一部(ペプチド)を、体の中にあってはならない悪いものの“目印”として自分の表面に出してきます。悪いものの“目印”して使われているタンパク質の一部(ペプチド)は「抗原」と呼ばれていて、自分の表面に抗原を出すことは「抗原提示」と呼ばれています。

樹状細胞は“司令塔”として、Tリンパ球に抗原を教育します。がんの“目印”をしっかり教え込まれたTリンパ球は“兵士”として樹状細胞によって活性化され、大量に増殖し、全身を循環して、同じ抗原を持ったがん細胞を見つけ出し、狙い撃ちにして殺します。免疫細胞は目が見えるわけではないのですが、その代わりに「抗原」を識別することによってがん細胞を見つけ出し、それだけをターゲットにして精確に殺傷することができるのです[参考文献2]。

樹状細胞の抗原提示の能力は体の免疫細胞の中で最強であることが知られています。Tリンパ球はさらに詳しく言うと「ヘルパーTリンパ球」「キラーTリンパ球」に分けられるのですが、樹状細胞は自身が貪食してとりこんだ抗原をもとにヘルパーTリンパ球キラーTリンパ球どちらをも同時に活性化することができるのです。これは樹状細胞が「クロスプレゼンテーション」と呼ばれる特殊な抗原提示能力を兼ね備えているからであり、このような“プロフェッショナルな”抗原提示ができる免疫細胞は、白血球の中でも樹状細胞しかありません[参考文献3]。

まず、「アフェレーシス」で体の中の単球を大量に採取し、体外で培養して樹状細胞に分化させ、この樹状細胞にがん細胞の抗原を覚えさせ、そして体に注射します。樹状細胞は体の中でTリンパ球にがんの抗原を教育し、Tリンパ球は樹状細胞によって活性化されて大量に増殖し、体を循環してがん細胞を見つけ出して殺傷します。

つまり、最強の抗原提示の能力を持つ樹状細胞によって、がんを体の免疫に覚えさせ、Tリンパ球ががんをターゲットにして戦うのです。これは「ワクチン」の原理に他ならないため、この治療法は「樹状細胞ワクチン」と呼ばれているのです。

 

以上のことから、樹状細胞ワクチン療法では、

 

①まず初めに「アフェレーシス」を行って大量の単球を採取すること

 

②次にTリンパ球を活性化させる能力の高い樹状細胞に分化させること

 

③最後に攻撃目標として最適ながんの「抗原」を樹状細胞に覚えさせること

 

 

の3点が、治療の効果を左右する非常に重要な鍵となることが分かります。これらを全て満足しているのが、本邦が世界に誇る、東京大学医科学研究所発のベンチャー企業のテラ株式会社「WT1ペプチドパルス樹状細胞」であるといえます。

 


 

なお、東京大学医科学研究所の臨床研究からテラ株式会社の樹状細胞ワクチン療法の発展の歴史についてさらに詳しく知りたい方は下記をご参照ください。

 

テラ株式会社は、東京大学医科学研究所山下直秀教授の下で行われた悪性黒色腫及び甲状腺癌に対する樹状細胞ワクチン療法の臨床研究を技術基盤とし[参考文献4,5]、2004年から悪性腫瘍を対象とした樹状細胞ワクチン療法の研究開発を行い、2005年にセレンクリニック東京にテラ株式会社の技術が導入され、以降、セレンクリニックグループおよび提携医療機関において、約12,000人を超える(2018年12月末時点)がんの患者様に樹状細胞ワクチン療法を中心とした免疫療法が行われてきました。

 

樹状細胞に提示させるがん抗原としては、大阪大学杉山治夫教授が開発された、がん細胞に広く異常発現が認められる「Wilms腫瘍Wilms’tumor 1; WT1)タンパク」の抗原として認識される部分を人工的に再合成した「WT1ペプチド」の有用性が高いことが世界的に認められており[参考文献6~8]、セレンクリニックグループではWT1ペプチドをがんの抗原として樹状細胞に提示させた「WT1ペプチドパルス樹状細胞」による免疫療法を行い、その臨床効果がセレンクリニック名古屋院長の小林正学博士を中心に多数の国際学術雑誌に発表されました[参考文献9~14]。WT1ペプチドについてはさらに、キラーTリンパ球を活性化可能なペプチド(クラスIペプチド)とヘルパーTリンパ球を活性化可能なペプチド(クラスIIペプチド)を同時に樹状細胞に抗原提示させることが可能となり、キラーTリンパ球とヘルパーTリンパ球の双方の抗腫瘍免疫力が統合された形での臨床効果については、2014年8月に東京慈恵会医科大学小井戸薫雄教授から報告がなされています[参考文献15]。

 

さらに2016年12月、テラ株式会社の連結子会社であるテラファーマ株式会社和歌山県立医大学山上裕機教授と共同で、標準療法不応進行膵がんに対する抗がん剤(S-1)併用WT1ペプチドパルス樹状細胞ワクチン(TLP0-001)の安全性・有効性を検討する、本邦初となる医師主導治験の実施に係る契約を締結し、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験計画届書が提出され、2017年 3 月より二重盲検ランダム化比較試験が開始され、中間解析の結果、安全性データの評価を行った効果安全性評価委員会から治験継続について承認されたため、和歌山県立医科大学は本治験を多施設共同研究に展開するための変更届書をPMDAに提出し、本治験の実施医療機関は 11 医療機関に増え、樹状細胞ワクチンの再生医療等製品としての承認取得が目指されています。

 

なお、米国では既に2010年4月に、進行前立腺癌に対してDendreon株式会社の樹状細胞を含む細胞製剤である「シプリューセル-T(Sipuleucel-T)」が第Ⅲ相臨床試験を経て、世界初の免疫細胞製剤として「プロベンジ(Provenge)」との薬品名で米国食品医薬品局 (FDA) に承認されています[参考文献16]。

 

 

<参考文献>

  1. Steinman RM, et al. Identification of a novel cell type in peripheral lymphoid organs of mice. I. Morphology, quantitation, tissue distribution. J Exp Med 1973; 137: 1142-1162.
  2. Banchereau J, et al. Immunobiology of dendritic cells. Annu Rev Immunol 2000; 18: 767-811.
  3. Villadangos JA, et al. Intrinsic and cooperative antigen-presenting functions of dendritic-cell subsets in vivo. Nat Rev Immunol 2007; 7: 543-555.
  4. Nagayama H, Sato K, Yamashita N, et al. Results of a phase I clinical study using autologous tumour lysate-pulsed monocyte-derived mature dendritic cell vaccinations for stage IV malignant melanoma patients combined with low dose interleukin-2. Melanoma Res 2003; 13: 521-530.
  5. Kuwabara K, Nishishita T, Yamashita N, et al. Results of a phase I clinical study using dendritic cell vaccinations for thyroid cancer. Thyroid 2007; 17: 53-58.
  6. Sugiyama H. Wilms' tumor gene WT1: its oncogenic function and clinical application. Int J Hematol 2001; 73: 177-187.
  7. Tsuboi A, Sugiyama H, et al. Enhanced induction of human WT1-specific cytotoxic T lymphocytes with a 9-mer WT1 peptide modified at HLA-A*2402-binding residues. Cancer Immunol Immunother 2002; 51: 614-620
  8. Cheever MA, et al. The prioritization of cancer antigens: a National Cancer Institute pilot project for the acceleration of translational research. Clin Cancer Res 2009; 15: 5323–5337.
  9. Kimura Y, Okamoto M, et al. Clinical and immunologic evaluation of dendritic cell-based immunotherapy in combination sith gemcitabine and/or S-1 in patients with advanced pancreatic carcinoma. Pancreas 2012; 41: 195-205.
  10. Takahashi H, Yonemitsu Y, et al. Impact of dendritic cell vaccines pulsed with Wilms’ tomour-1 peptide antigen on the survival of patients with advanced non-small cell lung cancers. Eur J Cancer 2013; 49: 852-859.
  11. Kobayashi M, et al. Dendritic cell-based immunotherapy targeting synthesized peptides for advanced biliary tract cancer. J Gastrointest Surg 2013; 17: 1609-1617.
  12. Kobayashi M, et al. Prognostic factors related to add-on dendritic cell vaccines on patients with inoperable pancreatic cancer receiving chemotherapy: a multicenter analysis. Cancer Immunol Immunother 2014; 63: 797-806.
  13. Kobayashi M, et al. The feasibility and clinical effects of dendritic cell-based immunotherapy targeting synthesized peptides for recurrent ovarian cancer. J Ovarian Res 2014; 7: 48.
  14. Kobayashi M, et al. Therapeutic effect of intratumoral injections of dendritic cells for locally recurrent gastric cancer: a case report. World J Surg Oncol 2014; 12: 390.
  15. Koido S, Homma S, et al. Treatment with chemotherapy and dendritic cells pulsed with multiple Wilms’tomor 1 (WT1)-specific MHC class I/II-restricted epitopes for pancreatic cancer. Clin Cancer Res. 2014; 20: 4228-4239.
  16. Kantoff PW, et al. Sipuleucel-T immunotherapy for castration-resistant prostate cancer. N Engl J Med. 2010; 363: 411-422.
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