アフェレーシス(成分採血)では患者様の貴重な白血球を採取する。
一方の腕から採血し、他方の腕から返血し、循環をしながら遠心分離を行って、数十億個という白血球を回収する。
この白血球の中には、「単球」と呼ばれる、樹状細胞の元になる細胞が高い比で濃縮されている。
大切な細胞を少しでも早く培養するため、アフェレーシスが終わったら直ちに細胞を新幹線で提携施設まで運ぶ。
名古屋にもよく運搬したが、今回は初めて京都に運搬した。
夕方近くにやっと届けたら、培養スタッフの皆さんが受け取って下さって直ちに培養工程が始まった。
単球を培養皿に接着させてリンパ球と分離培養するのには4時間とかかかるから、全工程が終わったら夜中になってしまうだろう…
それでも培養スタッフの皆さんは笑顔で引き受けて下さった…
患者様のために、少しでも元気で良い品質の樹状細胞を作りたい、ただそれだけ。
自分も細胞スタッフの皆さんも思いは同じだ…
帰りに京都のスタッフの方にお勧め頂いて、毘沙門堂を見に行ってきた。
京都なんて、何年ぶりに来たんだろう…
桜が満開の京都か…
観光じゃなくて、白血球を運搬してきただけだけど…
毘沙門堂は新型コロナの影響で閉門時間が早くなってしまって、中は見られなかったが、疎水という川沿いの桜を眺めることができた。
効果の高い良い樹状細胞ワクチンができて、患者様のご病状が良くなりますように…
ただそれだけを思いながら、夕暮れの京都をあとにした。