免疫細胞療法やその他の最新の治療でがんを克服された患者様がいらっしゃいます。
そんな患者様のお元気なお姿を見られることは自分にとって本当に一番幸せなひとときです。
患者様と初めてお会いしたのは3年前…
ご出産直後に巨大な後腹膜腫瘍が見つかり、権威あるがんの専門病院で治療をされることになりましたが、抗がん剤の点滴治療は全く効かず、次に抗がん剤の飲み薬になりましたが、これも効かずにそのまま何もしてもらえずに緩和ケアとなる方向でした。
そんな中、ご主人が熱心に免疫細胞療法を調べられて、セレンクリニック東京(現在は閉院)に相談にこられました。自分はその時には当院で診療をしながら、非常勤でセレンクリニック東京の外来もお手伝いしていました。
初めてご来院された患者様は、お顔色は土色で、麻薬で意識ももうろうとされ、いつ急変してもおかしくないご状態で、命をお助けできるのかどうかすら定かではありませんでした。
しかし、まず転院して最新の強度変調放射線治療をお受けになって、それからセレンクリニック東京で樹状細胞ワクチン療法をお受けになることをお勧めしました。
生まれたばかりのお子様を乳児院に預けながら長期入院で放射線治療、そして樹状細胞ワクチンの腫瘍への局所注入療法…
通常ならば考えられないような奇跡的な経過で、患者様の腫瘍は縮小に向かい、患者様はお元気になられ、なんと職場復帰まで果たされました。
あれから3年目になりますが、当院に再発予防のためにご相談に来て下さいました。
左骨盤部を占拠する大きな病変は、形だけは残存しているため、左の足が麻痺して車椅子になられてしまいましたが、階段もご自身の腕でしっかりお体を支えながら右足を使って力強く昇られ、元気一杯の大きなお声で楽しそうにお話をしてくださいました。
「元々はこんなに元気一杯の方でいらっしゃったんだ…」
生きるか死ぬかのボロボロのご状態だった時に初めてお会いして、その後、半年くらい経ってご病気をやっと克服された頃にもお会いしましたが、こんなにお元気なお姿を拝見したのは自分は初めてでした。
医者でも通常ならば絶望的と考えるような巨大後腹膜腫瘍で、普通であればもうとっくに諦めていたと思いますが、しかしご主人は絶対に諦めずに最新の治療を探求され続け、強度変調放射線治療と樹状細胞ワクチン療法にたどりつきました。そして患者様は長期生存者となられました。
大量のデータに基づいた「エビデンス」が全てだという方がたくさんいます。
保険が承認された標準治療だけが「王道」だという方がたくさんいます。
免疫細胞療法のことを全く何も知らないのに免疫細胞療法のことを「インチキ」だと決めつけていう方がたくさんいます。
でも、自分の目の前で実際に起こっていることをつぶさに観察して、真実を見つけていくことは、エビデンスではないのでしょうか?
色々な批判があるのかもしれません。でもそんなこととは関係なく、こうやって目の前に、決して諦めずにがんを克服してお元気になられた患者様のお姿を見ることができることは、自分にとって本当にこのうえない幸せです。