「〇〇ちゃん」・・・息子様はお母様のことを可愛らしいあだ名でそう呼ばれていた。
がんがお腹にも広がってしまい、腹水も溜まってとても厳しいご病状だったが、息子様は決して諦めず、お母様に先進的な治療を探索された。
「KM-CART」要町病院の松﨑圭祐先生が開発された腹水治療法…お腹に溜まって身体の負担になる腹水を抜きながら、大切な蛋白成分は回収して、あとで点滴で身体に戻してくれるという理想的な治療法だ。
息子様がその治療を選んで受けられた〇〇ちゃんは、腹水の辛さからやっと解放されて、お元気になられた。
当院でも活性化Tリンパ球の併用治療が開始された。
主治医の先生は免疫療法にも理解をして下さり、〇〇ちゃんが受けられるように協力して下さった。
食欲もなくなっていた〇〇ちゃんがとても元気になってご飯も食べられるようになった…
しかしまだご病状は厳しく、今度は腸が閉塞してしまった。
嘔吐がみられ、全くご飯も食べられなくなってしまった。
主治医の先生が、休みの日にも関わらず、腸管ステント挿入の処置をして下さった。
また免疫療法が受けられるように、と、退院の日も合わせて下さった。
〇〇ちゃんは、まさか年末年始を病院で過ごすとは想像していなかったそうだった。
新型コロナでご家族がお見舞いにいくこともできない。一人ぼっちでどれだけ寂しかっただろう…
〇〇ちゃんのお身体の負担がないようにと、息子様がお母様の往診をご希望された。
看護師とおうちに伺ったら、息子様とそのお姉様が出てきて下さった。そしてお父様も…
〇〇ちゃんはおうちで寝ていらっしゃったが、家に帰られたことは本当に嬉しかったそうだ。
やっぱり家は一番…
穏やかな笑顔をみてほっと安心した…
息子様は、お父様のことも「□□ちゃん」と呼んでいらっしゃった。
□□ちゃんも穏やかに話されていたが、看護師に「あんた綺麗だね」と話しかけられた…
□□ちゃんはとても働き者で、今でも現役で働いていらっしゃるそうだが、自由人でいらっしゃって、〇〇ちゃんもご苦労されたそうだ。
「いや、急に家内の体重が減ってきてね、びっくりしたんですよ」と□□ちゃんは話されていた。
「□□ちゃんが、ちゃんと〇〇ちゃんの話を聞いてあげないからこうなったんだよ」と息子様が話されていた…
□□ちゃんは、途中でどこか別の部屋に行かれてしまった。
息子様とお姉様が付き添う中で、〇〇ちゃんに活性化リンパ球の点滴を開始した…
体外で培養して1000倍に増殖させた約100億個のTリンパ球が一気に体内に注入される…
FACS解析によると、細胞製剤は、およそ92%がTリンパ球で、7%くらいのNK細胞が混じっている。
Tリンパ球のうち、キラーT細胞※が72%、ヘルパーT細胞が17%だ。
※細胞傷害性T細胞(CTL)
〇〇ちゃんの点滴は無事に終了した。
〇〇ちゃんはおうちに戻られて、温かいご家族に囲まれて、本当に幸せそうだ…
4人でお写真を撮らせて頂いた。
お姉様がお母様の手を握る…
〇〇ちゃんは嬉しそうな笑顔…
□□ちゃんも後ろでにっこりして…
息子様はお父様の肩に手をかけて、ピースのサイン…
なんて素敵なご家族なんだろう…
写真の息子様の笑顔を見るといつも涙が出る…こんなに人情に溢れた優しい方は本当にいないだろう…
活性化Tリンパ球療法は、ご高齢で、奇跡的な著効が得られた症例を、セレンクリニックで数例経験したことがある…
また大量のTリンパ球が体に注入されることで、腫瘍免疫だけでなく、免疫全体が上がるため、患者様がとてもお元気になる。
Tリンパ球、しっかり戦って、腹腔のがん細胞を撲滅させてくれ!
息子様の思いが通じるように…